ハルモニア株式会社 代表の松村です。2023年4月26日〜27日、ロンドンで行われたRetail Technology Showに参加してきました。また、ロンドン・パリの小売店舗を視察しました。
今年1月に参加したニューヨークのNRFとの共通点(インフレ・価格競争)もある一方で、はっきりとした差異(脱炭素・サステナビリティ)もあり、小売業界の将来像を多面的に捉えるよい機会となりました。今回も、個人的に重要だと感じたトピックをまとめます。
・タフな時代の価格競争
イギリスでは前年同月比のインフレ率が10%以上、食品においては19%越え(2023年3月)と、生活者・小売業者に多大な影響を与えています。その中でも、ディスカウント業態であるAldi, Lidlの成長が著しく、市場ランキングを塗り替えています。 Tesco, Sainsbury’s は共に「Aldi Price Match」キャンペーン(Aldiの売価に合わせるプロモーション)を展開し、顧客流出防止に努めています。
・意外なDX先行者COーOP
イギリスの生協、CO-OPは2019年頃からデリバリーサービスを開始し急成長。2021年には収益化にも成功しています。 2018年に参画したe-commerce責任者がリーダーとなり、競合の価格モニタリングや、バスケット購買分析、また、配送料と最低購入価格のダイナミックプライシングも実装しています。
・2040ネットゼロに動き始めた小売業界
BRC(英小売協会)が中心となり、2040年までに小売業およびサプライチェーン全体での炭素排出量をネットゼロにするための気候アクションロードマップを策定。Aldi, Lidl, IKEA, Tesco, Sainsbury’s, Screwfixなど多くの小売企業がコミットしています。 今回私が参加したイベント Retail Technology Showでも、1つのステージでサステナビリティに関するセッションが一日中行われるなど、アメリカ、日本よりも進んだ業界の本気度が見られました。
パリ中心地のAdidas、Nikeの旗艦店においても脱プラスチックやカーボンニュートラルのメッセージが強く打ち出されており、ニューヨーク店と比べても企業側・顧客側の関心の強さが現れています。
・店舗テクノロジー
都心部の小型〜中型スーパーマーケットでは、省スペースなフルセルフレジが浸透。スマホやクレジットカードでのタッチレス決済がよく使われ、より小規模なところでは現金不可の店舗も見られました。 食品、家電、アパレルなどジャンル問わずClick and Collect(オンライン注文・店舗受け取り)のカウンターも多く見られ、ロンドンにあるScrewfixの受け取り専用店舗には多くの顧客が入っていました。
展示会場では決済ソリューション、また、従業員の業務支援ソリューションが目立ちました。例えば、cWATCHはスマートウォッチ型の店舗スタッフ支援ツールで、店内業務放送やトランシーバーを代替できる可能性があります。
ハルモニアでは、小売業界を中心に、価格戦略立案やソリューション開発のご相談を承っています。
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